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ソーシャル・キッチンのつくり方

高橋 由布子/ Yufuko Takahashi

hanareのメンバー。デザイン、広報、経理、事務担当。時々ウェイトレス。Social Kitchenができた経緯、運営方法、メンバーのことなどなど、過去の記憶を掘り起こしながら少しずつ紹介していきます。

[ソーシャル・キッチンのつくり方]9条、世界へ羽ばたく

2012.07.13

そうして活動を続けて1年経ったあたりから、喫茶はなれにだんだん自分たちの知らない人が訪れるようになりました。知り合いからウワサを聞いてやってきたという「友だちの友だちの友だち」、「友だちの友だちの友だちのそのまた友だち」…といった人たちです。喫茶はなれは京都で言う「いちげんさんお断り」のお忍びカフェ、地図も電話番号も公開していなかったにも関わらず、自力であれこれ調べてたどり着く人たちがどんどんと現れたのです。これには私たちもビックリでした。中には「すみません、このあたりに料亭があると聞いたのですが」と扉を開ける人までも…。料亭などという恐れ多い単語は一度も発信した覚えがありませんが、いやいや、人の噂というのは恐ろしいものです。

でも、こうして時間の経過とともにお客さんの層が広がっていくことが、活動を続けていく励みにもなっていました。そしてそれらのお客さんの中に、これから先何か一緒にできそうな、「仲間」と呼べる人たちがちょっとずつ増えていきました。

そんな風にいろんな人が集まる場所になってくると、喫茶はなれでワークショップやレクチャーなどを開催しようというアイデアも生まれてきました。(どういうイベントを行ってきたかはここでは説明は省略するので、気になる方はこちらこちら(2008年と2009年のアーカイブ)をご覧ください)

その中でも特に記憶に残る企画が3つあります。それらの内容を簡単に紹介していこうと思います。

ひとつ目の企画は2007年の秋頃にメンバーと友人とともに立ち上げた「4649プロジェクト」というものです。ちょうどこの頃の日本は、日本国憲法、中でも9条を否定する声が高まっていました。戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を宣言するこの憲法をなくしたくない!ということで、みんなでアイデアを出し合い、「憲法九条 夜露死苦」と書かれた横でヤンキーがウンコ座りしているステッカーを作ろう!ということになりました。

 

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このアイデアには、次の2つの意図があります。

ひとつは、海外の人にこのステッカーを送って、憲法9条の存在を知ってもらうこと。そしてその理念に賛同した人は、自分の町にシールを貼って、写真を撮ってもらう。そしてその写真を日本に送り返してもらい、ネットを通じて日本に住む人が閲覧できるようにする(リンク)。そうすることで、「世界からうらやましがられる憲法」に対して誇りを持ってもらえないかと考えたのです。言うなれば、憲法の逆輸入です。

そしてもうひとつは、護憲ポスターによく見られるハトや四葉のクローバーのイラストなど、使い古された表現を使わずにメッセージを放ちたいという思いがありました。このような表現ばかり繰り返していては、政治に興味のない人、若い世代の人には伝わらない。もっと強くて、パンチがあって、ユーモラスな表現はで きないかと模索した結果、日本のヤンキーに登場いただくことになりました。

今から見ればデザインもアイデアも、もっとこうすればよかったな…と思う点はたくさんありますが、それでも海外に住む友人・知人にステッカーを送った結果、たくさんの写真を集めることができました。また日本でもいろんな人の協力を得て、あちこちから写真を送ってもらいました。集まった写真は友だちに編集しても らいビデオを作成(リンク)、そしてこれまた友だちが経営する美容院でその上映パーティも開きました。hanareは後に法人を立ち上げることになるのですが、このイベントの企画に協力してくれたうちの何人かは、法人のメンバーとして今でも一緒に活動をしています。

今から思い返してみると「hanare」が週に1回のプライベートカフェの運営だけではなく、複数のプロジェクトを運営する団体として活動をし始めたのは、このイベントが大きなきっかけになったように思います。また、コアなメンバーだけではなく、いろんな分野の人たちを巻き込みながら、協同してプロジェクトを進めるというスタイルも、この頃から継続しています。そしてこのイベント終了後、hanareに新メンバー、しかも男子が仲間入りする日がやってきます!

つづく!

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