いままで説明してきた運営上の内的な問題点とは別にここでは、Social Kitchenのような場所が存在しにくい社会的要因と、 これまで私たちが感じた疑問と矛盾を書いてみます。少し長いですがお付き合いください。
【制度のはなし】
■税金
営利を目的とする中小法人と、NPO法人の法人税が同じ税率
税法上の「収益事業」を行っていると、NPOにも中小企業と同じ率の法人税がかけられます。 NPOが利益を追求する企業とは異なり、利益を団体の活動目的を達成するための事業に充てる=社会的な使命を達成することを目的にする法人であるならば、 税制面の優遇=国のサポートがもう少しあってもいいのではないでしょうか?
所得額に対する法人税の税率の区分が2つしかない
法人税は現在、年間所得が800万円以下の中小法人に対して15%が、800万円を超える場合は25.5%の税率が設定されています。 年間所得が50万円のところと800万円のところ、また801万円の所得があるところと2,000万円の所得があるところの負担には大きな差がありますが、 それらが同じ税率であることに疑問を持っています。
寄付に対する税金の控除が認められない
企業や個人がNPO法人に寄付をした場合、その寄付金は税金控除の対象となりません。 「認定NPO」に認証されれば、寄付金が控除対象になり寄付金を募りやすくなりますが、 その要件を満たすことはとても難しく、現在全国にあるNPOのうち、わずか0.59%の団体しか認定されていないそうです。 法改正により認定基準が緩和されたとはいえ、小規模のNPOにとって険しい道のりであることには代わりありません。
もちろんたくさんの所得を生み出すことができればこれらの問題に苦しむこともありませんが、 私たちのような小さなNPO法人が活動を続けていくことの難しさが、制度の設計上からも分かります。
■助成金
芸術・文化、農業・環境等のそれぞれの分野において、助成金のほとんどは実施するプロジェクトに対して支払われます。 プロジェクトに必要な機材や材料費、広告費などにはお金が出ますが、 それを実施するための人件費(局部的なアルバイトにはお金がでる場合もありますが)に対してはお金が出ないケースがほとんどです。 そうなると「プロジェクト地獄」に陥り、忙しくなるけど、それを維持するための人件費はまかなわれない事態が生まれています。 助成金に軸をおいた運営の難しさがここにあります。
hanareの収益事業にかかる税金
1. 法人税(国税)
所得(*1)が800万以下の場合 | 所得の15.0% |
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所得(*1)が800万超の場合 | 所得の25.5% |
2. 法人事業税 (地方税)
年間所得が400万円以下 | 約5.0% |
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年間所得が400万円超〜800万円以下 | 約7.3% |
年間所得が800万円超 | 約9.6% |
3. 法人府民税 (京都府税)
法人税の額×5%
4. 法人市民税 (京都市税)
法人税の額×12.3%
1〜4は所得がゼロまたはマイナスの場合は、支払いが発生しません。
5. 法人府民税均等割 (京都府税)(*2)
2万円
6. 法人市民税均等割 (京都市税)
5万円
5〜6は所得がゼロまたはマイナスの場合でも支払いが発生します。
7. 消費税(国税)(*3)