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須川 咲子/Sakiko Sugawa

「hanare」の運営メンバー。“hanare x Social Kitchen Translation” という翻訳事業のディレクションをしながら、世界各地で政治問題を扱うプロジェクトを実施している。毎日の暮らしの中で見たこと、考えたこと等をアップしていきます。

Sakiko Sugawa is a founding member of "hanare." Sakiko runs “hanare x Social Kitchen Translation” as a director while initiating a number of politically charged projects around the world. This diary records her everyday life.

Perth - Palestine/Israel - NY

2011.03.31

急に決まったオーストラリアへの旅。4泊の短い調査旅行でした。
11月に開催されるプロジェクトに参加するために、現地でどういう人がいて、どういう動きがあるのかを短い期間ながらも調査する。オーストラリアという国について、パースという都市について考えたり、思いを馳せたりしたことが人生で一度もなかったので、本当に「初めまして」という感じ。


4日間の印象は、パースはLAタイプの都市で、車社会。天気が良くて、海も奇麗で、人もおおらかで気持がよさそう。アジアからの移民の人たちが沢山いて、物価が日本よりも断然高い。また、多くの人から「パースは海外からも、オーストラリアの東部に位置している他都市からも孤立している」という話を聞いた。これは文化労働に携わる人に限った話なのかどうかはわからないけど、基本的に志が高い人は、外にでるという。日本と似ているかも。


そんな中でも、面白い活動をしている人と数名出会うことができたのは収穫。彼らとのやり取りを通して聞き取り調査をはじめよう。普段は、美術のフィールドとは全く関係のない場所に通ったり、友達を介して人や街との関係を作っていくから、今回のように美術のインスティテューションをバックにして誰かに会う感じ、人とのコンタクトを取ることに慣れてない。いくつかできたらいいなというアイデアが沸いて来たけど、現地に滞在する期間と京都でそのために割ける時間を考えて、向こうで頑張っている人たちにとって役立って、しかも面白いアイデアを選びたいと思ってる。ハードル高し。もしかしたら、毎日フードキッチンを開けるくらいの方がいいかもしれん。


そう言えば、この旅の数日前に、急遽パレスチナとイスラエルに住む親友達と3方向のスカイプ電話をした。両方から、日本は危険だからこっちに来い!と誘われる。ちょうどまた小型のスーツケース爆弾がエルサレムで爆発した事件があり、イスラエル政府がまた爆撃をしそうな雰囲気があるのに。でも、もう何が安全なのかがわからない。安全という言葉の概念がぐらぐら揺らいでいる。かなり詳しい情報が現地にも伝わっているみたいで、相当心配してくれてる。でも、京都に住んでいる私たちは、なんの被害もなく暮らせているわけで、こういうふうに心配されることそのものが申し訳ない感じがする。


そして、911が起こった時の状況もフラッシュバックしてくる。一機目の飛行機がビルに突っ込んだあと、2機目がWTCに突っ込む時まで12丁目辺りで見ていたこと。その後、ダウンタウンから血まみれ、埃まみれになったビジネスマンが逃げてきたこと、NYにこんな沢山人が住んでいたんだ?とびっくりしながら皆で北へ北へと逃げたこと。何が起こっていたのか、状況をまったく把握しないままとにかく、北へいくことだけを考えていたこと。911以降中東からの移民やインドの人を狙った脅しや殺人事件が増え、人種差別が大っぴらに許容され、アメリカ政府の政策に批判的な態度を取ると何度も「出て行け」といわれたこと。そんなことが思い出されてくる。あのカタストロフィーの後、911を新しい戦争の言い訳に使われないよう、NYを中心にアメリカ中、世界中ででアフガン戦争とイラク戦争を止める運動が展開されたし、私も友人達も毎月のようにデモに参加し、いろんなイベントを催したりして、なんとか止められるんじゃないかと思ってた。だけどアメリカは戦争を始め、イラク戦争/アフガン戦争は今でも続いている。あのカタストロフィーの後、アメリカは最低最悪の方向に進み、私たちはそれを止められなかった。同じ絶望を感じたくない。

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