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風見(峯) 遼佑 / Ryosuke Kazami (Mine)

1983年、栃木県生。大学で言語学、大学院で分析哲学を学んだのち、ドロップアウトしダイキン工業入社。現在、エンジニア組織の経営企画的なことに従事。趣味はジャズとかとウッドベース・ボルダリング。

[CALR]vol.22『問題プロジェクトの火消し術』

2014.03.26

※しばらく寝ていました。再開します

『問題プロジェクトの火消し術』長尾 清一2007年 日経BP社

 

 このプランしないといけないのは、なぜかを端的に示す。現状どんだけやばいか・問題点・そうなった経緯・ほっといたら何起きるか。リカバリを実行する正当性が有ることを証明する。目標としていつまでに誰が何をどのように、こうして、アウトプットとしてこれ出します。

 
このように、現状がプラン実行によってどれだけリカバリできるか証明してあげる。(できないことはできない旨、わからせる(スコープの限定ぜったいする))
目的に立ち返ってそもそも何するはずのプロジェクトだったのか?を共有。そのうえで、取り戻せる理想の姿をまず描いてあげること。その上で現実論もちだす。そしてトレードオフの選択もちこむ。A案B案C案。AしなかったらBになりますよ、どうするおつもりで?いい報告書にはかならずそれ有る。そしてそれを「相手に選択させる」ようにもってく。相手が自分で選んだ、という形・気持ちにもってく。あとからの反論を防ぐ。
 
あなたができないって言ってるのはどういう基準で、どういう事実にもとづいてなのか教えてください(まず理解示す)、からの「じゃああなたどうしたらできると思いますか」→わからない→からの、「じゃあこの代替案ではどうでしょう」→どうせそれもムリって言う→からの、できない理由にたいして「なぜ」「なぜ」「なぜ」…からの最後に出てきた答えに対して、「じゃあわたしあなたがいってるその制約はずす動きかけます。そしたらあなたそれ承認してもらえるんですね???」的なロジック
プラン実行に必要になる偉い人、とか他部門のキーマン、かならず会議に引っ張ってくる。絶対逃さない。
 
…などなど出来る人は、普段意識せずともやっているし、私だって業務遂行上、似たようなことを(レベルはともかく)しているとは思うのですが、この本はそれを「IT業界でよくおきる火事の火消しを専門としたコンサルタント、兼、さいきん私が大学ノートを入手してうれしかったUCLAの先生」であるところの長尾氏が体系的にどういうロジックやツールあるか述べた教科書であり、一家に一冊。備えあるべき本です。
 
なぜ一家に一冊か。それは、たとえば家庭内で係争が発生したら、友達との関係で何か取り返しつきそうにないことがおきそうになったなら… そんなシチュエーションにもすごい当てはまる、ていうか日々の具体事例にこんな体系的な態度でのぞめば光が見えるのでは…みたいな頭の整理のために、繰り返し参照できる本だから。手に取った人は全員、じぶんなりの何かを念頭において読んでしまうのではないでしょうか。
 
たとえば、ちょっとしたレベルのだとこんな事が書いてあります。
「ユーザの心理的な受容性を段階的に高めるために、「悪いニュース」は「早めに」かつ「小出しに」報告。(=Bad news FIRST)」
「最初に関連する小さな要求を相手に承認してもらった後で、大きな要求(本来納得させたいこと)を持ち出すと、相手は承諾しやすい(フット・イン・ザ・ドア)(新聞屋がドアに足挟んでまず奥さんに洗剤わたす的な?)」
 
 
それから、
よくスポーツ選手、毎日試合の前に自分の帽子のつばの裏に書いてる言葉反芻して、気合入れる。言霊? あると思います。いつもそのこと考えてたら、なんかその方向行きます。
私もそれ一つあります。逃げない
・ごまかさない(できてるかは別)。同じこと、この本に書いてありました。リカバリプランの提案者は逃げ態度、ごまかし態度出したら、いっぱつでNG。人離れてく。みんな、その人の人柄までみてプランを判断する。そのとおりだと思います。
 
それから、
高校の友だちで、営業マンとはこうあるべきを体現する尊敬してる人いるのですが、けっこう強烈なバイヤーのかたがたと付き合いあるらしくとにかくコスト叩かれる。さまざまな否定の文言を浴びせかけられることもしばしば。しかし、全部聞くとのこと。だけどいち㍉も効いてないのだそう(聞いてないのか?)。ご意見もっともおっしゃるとおり。納得してますの「演出」は完璧。そして最終的には逆に獲って帰ってくる。鉄の心、をもって自分の要求を通す、不利な合意しない。その意気やよし。この業務にも、なんでも、それ求められます。
 
また、サッカーの本田さんが、「どれだけ準備できるか」の重要性まえ言ってたのですが、この本でも、背景整理・プラン実行までのベンダ側・ユーザ側への承認ストーリの事前展開(PDPC法というか、フローチャートというか。こうきたらこう、こうきたらこう、ゴールはABCDを想定。優先順位としてA、最悪でC目指す、みたいな。)
 
それらは要するにどういうことかと筆者がいうのが、そしてそれがなにより刺さるのが、「間に入る存在で、権限を持たないにもかかわらず事態をリカバリ求められる火消し役が何をもって業務遂行、完了もってくか、その武器は「根回し」だ!」という論。しかもその詳細展開。まじ納得。でかい組織内に、会社vs会社に入り込む時に分けてわかり易く書いてある。そんな教科書があるなんて。根回しなんて、いやですよねえーイメージ的に。汚い!みたいな。でもこれが、具体的な手法として非常に重要なのですこの業務においては。いいねーこの本まじで。
 
 
他にも、あえて僕この意見しかないんですけど(まちがっててもOK)、他にないですか:わかってないキャラ演じることによる落とし所意見呼び水スタイル
僕分かってないんですけど、もう一回説明もらえませんか:わかってないキャラ演じることによる、相手のロジックの裏にある前提を暗に確認する。そして前提の間違った推論は推論がどれだけ正しくても意味をなさない旨、刺さりに行くスタイル
 
 
飛んで火に入りながらも様々な技術や気合いを駆使して解決もちこむ「火消し」の魅力がよくわかりましたが、それを生業とするなら、江戸時代のめ組さながら入墨いれてその職にコミットがいる…などと夢想をくりひろげる昨今です。
 
以上です。

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