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かわや版

堀内 陽平/Yohei Horiuchi

1984年5月23日23時53分、京都市生まれ。双子座。B型。男。尊敬する人は西川顕。現在、新聞社にてお仕事頑張ってます。

Yohei Horiuchi was born at 23:53 on May 23rd in 1984, and grew up in Kyoto. He is Gemini and his blood type is B. His hobby is woman. As a freshman, he currently works hard at a newspaper company.

[かわや版] vol.73 食べる

2012.09.27

秋ですね。どんどん季節は流れて。夏休みは虫歯の治療であっという間に過ぎ去って。そして秋。いま住んでいる亀岡市のあちこちでも稲刈りが真っ盛りだ。農家のオッチャンたちが輝く季節でもある。慣れた手つきでコンバインを操る姿は職人みたい。ほれぼれする。それ以上に、刈り取りを間近に控えた金色の稲穂は見ていて飽きない。コメの生命力が感じられるからか。あるいは天の恵みか。とにかく、何かが宿っているのを直感する。

コメと言えばコシヒカリ、コシヒカリと言えば魚沼産というのが庶民の定説だけれども、コシヒカリのルーツにあたる品種「水稲農林1号」を育成した、亀岡出身の並河成資の功績はあまり知られていない。今でこそ米どころで知られる新潟県だが、夢の品種とまで言われた農林1号の誕生なくしては語れない。並河さんの長女は京都市在住。遠い北陸の話ではなく、実は京都とのゆかりが結構深い。そんな風に考えてみると、食べ慣れたご飯の味も普段よりおいしく感じられる。コメ一粒まで大切に。小さい頃に注意された言葉がよみがえってきて、胸に感謝の気持ちが満ちていく。

並河が農林1号の品種改良に成功したのが1931年。つい80年ほど前までは、朝鮮や台湾産のコメが少なくなかった。農林1号の普及によりその後、北陸をはじめ東北以北でも稲作が広がることになる。食糧難の戦中戦後、国民を飢餓から救ったという農林1号の評価もうなずける。つまり、北陸や東北が米どころであるといったイメージはごく最近の話で、もっと言うと、こうした地域でのコメと日本人の神話性というのは、幻想とは言わないまでも極めて怪しい。宮城県南三陸町のコメ農家に生まれた山内明美が「断絶された土地」と呼ぶように、東北は電力と労働力に加えて、食料をも首都圏に供給する場所。歴史の裂け目だった。東日本大震災がなかったら、自分自身、東北の恩恵に目が向かなかった気がする。恥ずかしながら。

新潟県にある並河の顕彰碑には、農林1号の種子が貯蔵され、こう添えられている。「開封2951年・同11951年。指定の年次までの保存を乞う」。荒唐無稽な話ではなく、未来永劫、並河の功績を語り継ぐべしとの解釈と理解する。特に震災以降、東北のコメ農家には、半減期の長い放射能の問題が横たわるなど問題も多い。どうも並河のエピソードとリンクさせて考えずにはいられない。

そう言えば、岩手県宮古市出身の平賀さち枝のブログは、おいしそうなコメの画像が誇らしげにトップ画面のセンターを飾る。ブログのタイトルは「キッチンについて」。手前みそだが、ソーシャル・キッチンの2周年が今週末だった。食を考える秋にしたい。

 

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夏のお供 mix
War Dance(AKA Bongo Riot)/ Keith Hudson
I Can’t Stand It/ Specials
A Day In The Life/ Easy Star’s Lonely Hearts Dub Band
23時59分/ ハンバートハンバート×Cool Wise Man

偉大なるミュージシャンにしてゲットーの歯科医でもあった。文字通りスペシャルな名曲は色あせない。ついに。オールスターズが、今年デビュー50周年の節目を迎えたビートルズの金字塔に挑んだ。ああ愉快。人生楽しくいきたいもの。スカっといかなかった夏よ、サヨウナラ。

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