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[かわや版] vol.47 マンガは哲学する

 「日9」。日曜日の午前9時を指す。「ゲツク」より「ニチク」が楽しみなよいこのみんなの朝は早い。ここのところ毎週、負けじと早起きしている。フジテレビ系で放映中の「ドラゴンボール改」。ついに、悟空が伝説のスーパーサイヤ人に変身した。それにしてもフリーザ相手にあの強さ。今までは何やったんかと思わないでもないが、これでやっとこさ、緩やかな日曜の朝を迎えられそうである。

 ハコものとの批判を浴び、国が計画していた国立メディア芸術総合センターが建設中止になったことは記憶に新しいが、マンガやアニメが世界に誇る日本文化であることは間違いない。これら芸術表現をいかに発信・振興していくかは文化行政の重要課題の一つだ。近年では学問としての研究も進む。吉本隆明は漫画家の問題意識について「あの人たちは相当深くほかの分野のものを読んだり考えたりしているんでしょうね」と語っていたが、マンガ作品のうちには哲学的問題も存在しているという。

 例えば、国民的人気の「ドラえもん」。物語は、のび太の運命を変えるため未来からドラえもんがやって来るところから始まる。これを哲学的に読むと、のび太の運命が変わってしまえばドラえもんの存在する理由は無くなる訳だから、ドラえもんは自らの存在理由を否定するために存在しているという論理矛盾を内在していることになる。といった具合に、マンガを通して「私とは何か」そして「いまとは何か」を考察した永井均の「マンガは哲学する」で、萩尾望都が「昔、何冊かの哲学書を読んで、えんえんと『私が』『ある』という意味について書かれた部分の最初の数ページでへばったのを思い出します」と述懐していて、合点が行った。

 さて、春の人事異動で来月から京都府亀岡市に移ることになった。連日、引っ越しの荷造りやら挨拶回りに忙しい。滋賀を離れる前に「海洋堂フィギュアミュージアム黒壁」(長浜市)に行けるかどうか、それが個人的問題だ。


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コ mix
あしたのジョー/ 尾藤イサオ
神様のいうとおり/ やくしまるえつこ
Afro"Lupin'68"/ Unknown
ひみつの2人/ ミドリ
くちづけ星からやってきた/ Unknown

 あしたのジョーバッグを愛用して4年。寺山修司の詞がよい。ともに飛ぶ鳥落とす勢いのd.v.dとの新ユニットも楽しみ。ワルサーP38?のSEとファンキーなボーカルに飽きが来ない。山下毅雄は偉大なり。ジャケットを手掛けたのは、山本直樹。マンガやアニメの性的表現を規制対象とする東京都青少年健全育成条例の条例改正案が物議を醸す。マンガ学部を置く京都精華大の卒業生で教授のタナカカツキの金字塔「ブッチュくん」。


hanare March 28, 2010 09:01 PM

[かわや版] vol.46 愛のかたち

 冬のスポーツの祭典も閉幕し、春の訪れも近い。カナダのバンクーバー市で開催された冬季五輪。滋賀県からは2人が出場した。フリースタイル女子モーグルの伊藤みき選手と、母親が「未来少年コナン」のラナにちなんで名前を付けたというスノーボード女子ハーフパイプの岡田良菜選手。ともにメダルには届かなかったが、若い両選手には次回のソチ五輪での躍進を期待したい。

 日本勢の中では、フィギュアスケート女子の浅田真央選手もさることながら、女子モーグルの上村愛子選手に注目していた。長野五輪以来のファンである。結果は、表彰台にあと一歩及ばず、「なんでこんな、一段一段なんだろう」と涙ぐむ姿が印象的だった。一方、アルペン男子回転に出場した夫の皆川賢太郎選手は途中棄権。夫婦二人三脚でメダルを目指した大舞台で納得がいく滑りはできなかったかもしれないが、一先ずお疲れ様でした。

 大会期間中にはバレンタインデーもあった。本命チョコの定番といえばハート型だが、しかしどうしてこの形なのか。広辞苑には、心臓にかたどったかたち、とある。つまり、ハート型は心臓が感情の所在であることを前提としている。不思議なのは、好きとかカワイイといった肯定的な感情を表す単純な記号として、ハート型が市民権を得ていることだ。その点で、心の中の感情が形になって体外に現れる世界を描いた諸星大二郎の「感情のある風景」は示唆に富む。では一体、奇跡を呼んだナウシカの愛はどんなかたちなんだろう。

 と、ご託を並べたところで本命チョコを貰えるほど世の中甘くはない。春よ来い。


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Love Letter from Canada mix
Basin Street Blues/ Kid Koala
Shoes/ Tiga
Feisty/ Feist

 カナダ出身のオスカー・ピーターソンではなく、ルイ・アームストロングの録音で有名。超絶技巧のターンテーブルは影をひそめるものの、独特の脱力ビートが生む浮遊感がいい。エレクトロ界の貴公子ことティガ様。ニーナ・シモンもカバーしているSee-Line Womanをカバーしたファイストのそれを、さらに小気味よい四つ打ちに。ギターを掻き鳴らしてみても、ゴンザレスとマイクを握ってみても様になる。


hanare March 10, 2010 11:37 AM

[かわや版] vol.45 ポニョはさかなの子

 久しぶりに映画を見た。金曜ロードショーの「崖の上のポニョ」。仕事も早めに切り上げてテレビの前でスタンバっていただけに、出来には正直がっかりした。こちらの想像力の問題で片づけるには、あまりにもストーリーを端折りすぎというか、唐突な展開がちょいちょいあった。だから消化不良ですんなり作品に入り込めない。押井守が酷評したとか、磯部涼が冷や汗をかいたらしいというのも妥当な評価だと思われ。

 全体的には今一だったが、主題歌はよかった。子どもからお年寄りまで誰もが口ずさめるあのメロディーは中毒性が高い。別けても園児や児童の人気は絶大で、大喜びで大合唱という取材現場に居合わせたのは1度や2度ではない。かく言う自分自身、映画を見た後、さしたる訳もなく歌ったことを白状する。歌のほかにも、高齢者介護やおとぎ話といった個人的に今関心のあるテーマが気になった。

 それから、もう一つ気になったのは、主人公の少年・宗介の母リサが半魚人であるポニョに動じることなく、3人で食事するシーン。念願叶って人間になれたポニョの今後にもつながる話だが、リサはポニョを育てていくつもりなのか。ふと、hanareの子育てアンケートでの質問を思い出す。「もし家の前に子どもが捨てられていたら拾って育てますか」。人間でさえ二つ返事で引き取ることは難しいだろう。ましてポニョはさかの子である。

 ポニョの翌週にはルパン、でもって今週はナウシカだ。バンクーバー五輪も始まったし、あぁ忙しや~。


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Music has the right to children mix
赤とんぼ/ 三波春夫+コーネリアス
Kodomotachi/ Susumu Yokota
Open the light/ Boards of Canada

 演歌からラップまで歌いこなす大御所の小節と、小山田圭吾の美しいアレンジに痺れる。THIS IS ジャパニーズ・ソウルミュージック。特に3番が琴線に触れる。子どもの持つ純粋性に潜む、得体の知れない危うさ。相通ずる「チル・アウトというよりはバッド・トリップ系。しかし、このドラマチックな悪夢は癖になる」(磯部涼)。

Yohei Horiuchi


hanare February 15, 2010 03:16 PM

[かわや版] vol.44 前野健太がガケ書房に

 底冷えがする一日だった。今冬初めての積雪となった土曜日。昼からの吹雪にもめげず、「ガケ書房」を目指す。松江哲明の新作映画「ライブテープ」の公開を記念したインストア投げ銭ライブがあるから、午後3時に現地集合とのこと。親友からメールが届いた。

 歌うのは、主演を務めたシンガーソングライターで、この日が誕生日の前野健太だ。ボブ・ディランと井上陽水を足して2で割ったような風貌がいかす。なんでも「喫茶ソワレ」で書き上げたという「鴨川」をはじめ「鴨川パート2」「タワー浴場」の京都3部作のほか、「青い部屋」「友達じゃがまんできない」などを軽妙なトークも交えて熱唱。窓の外で深々と降り続く雪を横目に、汗も滴るライブに見入る。

 音楽にソウルを感じるから伝わるし、感動もする。生々しく熱いものを持っているか否かの違い。演奏の上手い下手は二の次だ。ライブでも、歌詞にある気持ちで歌えていないと言って歌い直す一幕があった。たぶんそういうことなんだと思う。だからどうしたっていう話だが、いつもの「田」で2人、いつもとおなじ不毛な音楽談議。雪はまだ止まない。さっきよりきつくなってきた。

 そのまま帰るつもりが、赤ちょうちんについ歩が緩む。「天天有」で締めの一杯。こんな日に食べるラーメンは格別の味である。どうやら雪も止んだみたいだ。


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ええ声ぇ〜 mix
Everything In Its Right Place/ Radiohead
Sleeping Beauty/ Patrick Watson
Sleepyhead/ Passion Pit

なんだかんだで、トム・ヨークは外せない。The Cinematic Orchestraでお馴染み。Gonzalesはもとよりカナダ出身のミュージシャンが意外と多い。大阪での来日公演は行けず仕舞いだった。キャッチーでダンサブル、おまけに美声とくれば、売れない要素がない。

Yohei Horiuchi


hanare February 8, 2010 01:12 PM

[かわや版] vol.43 読者の声

  雑誌の休刊が、どうにも止まらない。長く愛読してきた雑誌もずいぶん減った。長引く景気低迷による出版不況のただ中、読者の買い控えや情報源の多メディア化、広告収入の落ち込みなど、探せば理由はいくつかある。あるにはあるが、購買欲をくすぐる特集が減った感も否めず、それ自体の質の低下も一因ではなかろうか。長寿雑誌の休刊が相次ぐ一方、創刊してもすぐまた休刊に追い込まれる。悪循環が続く。

 出版業界も手をこまねくだけではない。日本雑誌協会に加盟する出版社がそれぞれの雑誌の記事をネット配信する取り組みに乗り出すという。しかし、雑誌をネットで閲覧するという行為にはいささか違和感を覚える。便利には違いないが、寒空の下、本屋へ行く苦労もなければ、ページをめくる愉しさや紙の手触りもない。クリック一つの若人よりも、指をねぶってページを繰るおっさんの方が、不快感はあるにせよ好感が持てる。その点で袋とじは雑誌ならではである。

 今年で創刊25周年を迎える「Switch」の大島渚特集号の巻末に、編集長が読者へ向けて書いた文章が掲載してある。「すでに四半世紀にわたって『無我の境地』を繰り返し表出してきたわけだが、この先も変わらず、さまざまな人々の思いを吸収しながら、その営みは続く」。結びの言葉通り、同時代の空気のようなものを感じられる雑誌を今後も発信していってほしい。切に願う。

 「日本の女性タレントの美しさだけは、変わらないなという強い想いです。私もそうですが、辛いことや悲しいことがあったとき、彼女たちの写真や動画で勇気づけられた方も多いのではと思います」。片や最新号で休刊する「sabra」の編集長は最後に記す。創刊されて10年。ヤン富田のライブより、小向美奈子の撮影会の方が気になったグラビアンとしては、一時代が終わったという感慨深さもあり、同誌のグラビア座談会と「BUBKA」のゼロ年代アイドル総論を拾い読む。直後に草津でベッキーを目撃、実物は「マブ」かった。グラビアン魂恐るべし。


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冬の夜はリトル・トリー mix
The Tourist/ Gonzales
Angie/ LB
Smoky Bubbles/ 電気グルーヴ
Lava Flow Dusty Cabinets mix/ Milky Globe and Nathan Fake
Armellodie/ Gonzales

 流麗で美しいソロピアノ。Feist、Peaches、Jamie Lidell、Mockyと個性的な取り巻きも楽しい。ストーンズの名曲を、奇才アトム・ハートがカバーしたらこうなる。煙や泡のようにはかなく消える。ミニマル・エレクトロニカのようなリズムアクセントが心地よい。α波全開で深い眠りに落ちていく。

Yohei Horiuchi


hanare February 5, 2010 11:16 AM

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