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[かわや版] vol.46 愛のかたち

 冬のスポーツの祭典も閉幕し、春の訪れも近い。カナダのバンクーバー市で開催された冬季五輪。滋賀県からは2人が出場した。フリースタイル女子モーグルの伊藤みき選手と、母親が「未来少年コナン」のラナにちなんで名前を付けたというスノーボード女子ハーフパイプの岡田良菜選手。ともにメダルには届かなかったが、若い両選手には次回のソチ五輪での躍進を期待したい。

 日本勢の中では、フィギュアスケート女子の浅田真央選手もさることながら、女子モーグルの上村愛子選手に注目していた。長野五輪以来のファンである。結果は、表彰台にあと一歩及ばず、「なんでこんな、一段一段なんだろう」と涙ぐむ姿が印象的だった。一方、アルペン男子回転に出場した夫の皆川賢太郎選手は途中棄権。夫婦二人三脚でメダルを目指した大舞台で納得がいく滑りはできなかったかもしれないが、一先ずお疲れ様でした。

 大会期間中にはバレンタインデーもあった。本命チョコの定番といえばハート型だが、しかしどうしてこの形なのか。広辞苑には、心臓にかたどったかたち、とある。つまり、ハート型は心臓が感情の所在であることを前提としている。不思議なのは、好きとかカワイイといった肯定的な感情を表す単純な記号として、ハート型が市民権を得ていることだ。その点で、心の中の感情が形になって体外に現れる世界を描いた諸星大二郎の「感情のある風景」は示唆に富む。では一体、奇跡を呼んだナウシカの愛はどんなかたちなんだろう。

 と、ご託を並べたところで本命チョコを貰えるほど世の中甘くはない。春よ来い。


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Love Letter from Canada mix
Basin Street Blues/ Kid Koala
Shoes/ Tiga
Feisty/ Feist

 カナダ出身のオスカー・ピーターソンではなく、ルイ・アームストロングの録音で有名。超絶技巧のターンテーブルは影をひそめるものの、独特の脱力ビートが生む浮遊感がいい。エレクトロ界の貴公子ことティガ様。ニーナ・シモンもカバーしているSee-Line Womanをカバーしたファイストのそれを、さらに小気味よい四つ打ちに。ギターを掻き鳴らしてみても、ゴンザレスとマイクを握ってみても様になる。


hanare March 10, 2010 11:37 AM

[かわや版] vol.45 ポニョはさかなの子

 久しぶりに映画を見た。金曜ロードショーの「崖の上のポニョ」。仕事も早めに切り上げてテレビの前でスタンバっていただけに、出来には正直がっかりした。こちらの想像力の問題で片づけるには、あまりにもストーリーを端折りすぎというか、唐突な展開がちょいちょいあった。だから消化不良ですんなり作品に入り込めない。押井守が酷評したとか、磯部涼が冷や汗をかいたらしいというのも妥当な評価だと思われ。

 全体的には今一だったが、主題歌はよかった。子どもからお年寄りまで誰もが口ずさめるあのメロディーは中毒性が高い。別けても園児や児童の人気は絶大で、大喜びで大合唱という取材現場に居合わせたのは1度や2度ではない。かく言う自分自身、映画を見た後、さしたる訳もなく歌ったことを白状する。歌のほかにも、高齢者介護やおとぎ話といった個人的に今関心のあるテーマが気になった。

 それから、もう一つ気になったのは、主人公の少年・宗介の母リサが半魚人であるポニョに動じることなく、3人で食事するシーン。念願叶って人間になれたポニョの今後にもつながる話だが、リサはポニョを育てていくつもりなのか。ふと、hanareの子育てアンケートでの質問を思い出す。「もし家の前に子どもが捨てられていたら拾って育てますか」。人間でさえ二つ返事で引き取ることは難しいだろう。ましてポニョはさかの子である。

 ポニョの翌週にはルパン、でもって今週はナウシカだ。バンクーバー五輪も始まったし、あぁ忙しや~。


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Music has the right to children mix
赤とんぼ/ 三波春夫+コーネリアス
Kodomotachi/ Susumu Yokota
Open the light/ Boards of Canada

 演歌からラップまで歌いこなす大御所の小節と、小山田圭吾の美しいアレンジに痺れる。THIS IS ジャパニーズ・ソウルミュージック。特に3番が琴線に触れる。子どもの持つ純粋性に潜む、得体の知れない危うさ。相通ずる「チル・アウトというよりはバッド・トリップ系。しかし、このドラマチックな悪夢は癖になる」(磯部涼)。

Yohei Horiuchi


hanare February 15, 2010 03:16 PM

[かわや版] vol.44 前野健太がガケ書房に

 底冷えがする一日だった。今冬初めての積雪となった土曜日。昼からの吹雪にもめげず、「ガケ書房」を目指す。松江哲明の新作映画「ライブテープ」の公開を記念したインストア投げ銭ライブがあるから、午後3時に現地集合とのこと。親友からメールが届いた。

 歌うのは、主演を務めたシンガーソングライターで、この日が誕生日の前野健太だ。ボブ・ディランと井上陽水を足して2で割ったような風貌がいかす。なんでも「喫茶ソワレ」で書き上げたという「鴨川」をはじめ「鴨川パート2」「タワー浴場」の京都3部作のほか、「青い部屋」「友達じゃがまんできない」などを軽妙なトークも交えて熱唱。窓の外で深々と降り続く雪を横目に、汗も滴るライブに見入る。

 音楽にソウルを感じるから伝わるし、感動もする。生々しく熱いものを持っているか否かの違い。演奏の上手い下手は二の次だ。ライブでも、歌詞にある気持ちで歌えていないと言って歌い直す一幕があった。たぶんそういうことなんだと思う。だからどうしたっていう話だが、いつもの「田」で2人、いつもとおなじ不毛な音楽談議。雪はまだ止まない。さっきよりきつくなってきた。

 そのまま帰るつもりが、赤ちょうちんについ歩が緩む。「天天有」で締めの一杯。こんな日に食べるラーメンは格別の味である。どうやら雪も止んだみたいだ。


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ええ声ぇ〜 mix
Everything In Its Right Place/ Radiohead
Sleeping Beauty/ Patrick Watson
Sleepyhead/ Passion Pit

なんだかんだで、トム・ヨークは外せない。The Cinematic Orchestraでお馴染み。Gonzalesはもとよりカナダ出身のミュージシャンが意外と多い。大阪での来日公演は行けず仕舞いだった。キャッチーでダンサブル、おまけに美声とくれば、売れない要素がない。

Yohei Horiuchi


hanare February 8, 2010 01:12 PM

[かわや版] vol.43 読者の声

  雑誌の休刊が、どうにも止まらない。長く愛読してきた雑誌もずいぶん減った。長引く景気低迷による出版不況のただ中、読者の買い控えや情報源の多メディア化、広告収入の落ち込みなど、探せば理由はいくつかある。あるにはあるが、購買欲をくすぐる特集が減った感も否めず、それ自体の質の低下も一因ではなかろうか。長寿雑誌の休刊が相次ぐ一方、創刊してもすぐまた休刊に追い込まれる。悪循環が続く。

 出版業界も手をこまねくだけではない。日本雑誌協会に加盟する出版社がそれぞれの雑誌の記事をネット配信する取り組みに乗り出すという。しかし、雑誌をネットで閲覧するという行為にはいささか違和感を覚える。便利には違いないが、寒空の下、本屋へ行く苦労もなければ、ページをめくる愉しさや紙の手触りもない。クリック一つの若人よりも、指をねぶってページを繰るおっさんの方が、不快感はあるにせよ好感が持てる。その点で袋とじは雑誌ならではである。

 今年で創刊25周年を迎える「Switch」の大島渚特集号の巻末に、編集長が読者へ向けて書いた文章が掲載してある。「すでに四半世紀にわたって『無我の境地』を繰り返し表出してきたわけだが、この先も変わらず、さまざまな人々の思いを吸収しながら、その営みは続く」。結びの言葉通り、同時代の空気のようなものを感じられる雑誌を今後も発信していってほしい。切に願う。

 「日本の女性タレントの美しさだけは、変わらないなという強い想いです。私もそうですが、辛いことや悲しいことがあったとき、彼女たちの写真や動画で勇気づけられた方も多いのではと思います」。片や最新号で休刊する「sabra」の編集長は最後に記す。創刊されて10年。ヤン富田のライブより、小向美奈子の撮影会の方が気になったグラビアンとしては、一時代が終わったという感慨深さもあり、同誌のグラビア座談会と「BUBKA」のゼロ年代アイドル総論を拾い読む。直後に草津でベッキーを目撃、実物は「マブ」かった。グラビアン魂恐るべし。


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冬の夜はリトル・トリー mix
The Tourist/ Gonzales
Angie/ LB
Smoky Bubbles/ 電気グルーヴ
Lava Flow Dusty Cabinets mix/ Milky Globe and Nathan Fake
Armellodie/ Gonzales

 流麗で美しいソロピアノ。Feist、Peaches、Jamie Lidell、Mockyと個性的な取り巻きも楽しい。ストーンズの名曲を、奇才アトム・ハートがカバーしたらこうなる。煙や泡のようにはかなく消える。ミニマル・エレクトロニカのようなリズムアクセントが心地よい。α波全開で深い眠りに落ちていく。

Yohei Horiuchi


hanare February 5, 2010 11:16 AM

[かわや版] vol.42 つづけたいこと

 1981年1月。他日、紹介した松田道雄の「日常を愛する」はこう始まる。「年のはじめに大きなことをいっておいて、自分をしばるのはさけたい。あとになって恥ずかしい思いをすることがあまりにおおかった。ただひとつ昨年からはじめたささやかな試みを今年もつづけたい」

 テレビを見ないこと、である。翻って、恥ずかしい思いをするのもご免だし、テレビも大いに見たいたちなので悩ましい。はてな。しかし、自分を縛るようではそれこそ長続きはしない。そういう訳で、自分も楽しめるからと毎月一回はライブに行くことに決めた。これなら、「最近なんかライブ行かはりましたか」的な会話にも役立つ。甘い目標設定に、内なる声で自分自身に言い聞かす。

 思い立ったが吉日という。早速、Akiko Kiyamaを見にメトロへと向かう。ミニマルテクノ界の最重要人物、リッチー・ホウティンに認められた気鋭の女性DJ。ファーストもよかっただけに、今年1年を占う初ライブとしては期待できる。午前3時過ぎ、いよいよ真打ちが登場。これぞベルリン仕込みという硬質で音数の少ないグルーヴにやられ、お酒も手伝って夢見心地でゆらゆら。やはり、月に一度は良質な音楽が細胞には必要だと思わせる一夜だった。

 夜が明けると、琵琶湖博物館でのよし笛コンサートの取材に急ぐ。鼓膜に悪い音の後は、よし笛による「琵琶湖周航の歌」が二日酔い明けのみそ汁代わりだ。やれやれ。とはいえ、一人でライブへ行くのもなんだ。2月のPassion Pitと3月のINO hidefumiのお供、求む!

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Joey's Riot/ Joey Beltram
Let Me Burn Your Book/ Akiko Kiyama
Mist w8me mix/ Fumiya Tanaka

TresorにR & Sとその道の老舗レーベルからのリリースでも功績の大きさがうかがえる。ファーストアルバムの「7」曲目。縁起がいい。和製Ellen Allienに。日本の第一人者は、テクノを聴き始めたころにヘビローだった。物足りなささえ感じさせるそぎ落としぶり。都会育ちかと思いきや、どっこい福知山市出身。千原兄弟や谷垣自民党総裁だけじゃありまへん。

Yohei Horiuchi


hanare January 26, 2010 02:54 PM

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