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hyslom 「上映会+リサーチ発表」レポート

2012.10.27

 OYE!という1年間継続するプログラムで、来年の9月までSocial Kitchenを拠点に活動するhyslomの上映会+リサーチ結果発表があった。この記事では2日間の事を簡単にレポートする。

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hyslom2009年から活動を開始した、加藤至、星野文紀、吉田祐からなるアーティストグループである。山から街に移り変わりゆくような場所に定期的に通い、その場所で起こる変化を身体活動によって記録/記憶させることをおこなってきている。この遊び、時には修行の厳しさを思わせる身体運動は、この場所の気候の変化などの自然現象や、開発に伴って増殖していく人工物に合わせて生まれ、ある種の規則が作られ、展開する。

今回は、この場所での活動を収めた「Documentation of Hysteresis」の上映と、その場所で遭遇した人たちを演ずるパフォーマンスの2部構成であった。
 

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「Documentation of Hysteresis」という作品はいつ見ても心を奪われるが、今回は、2012年4月にSocial Kitchenで上映された編集よりは物語性が強調され、後半のパフォーマンスで登場する「昆虫さん」、「猟師さん」、「現場さん」への繋がりを意識させる編集になっていた。特に27日の最後の上映作品は、後半パフォーマンスで登場する「現場」さんへの導入として上手くまとめられていたように思う。またこれまでの編集では、それぞれの遊び・修行・実験の面白い部分/成立している部分がコンパクトにまとめられている印象だったが、今回の上映ではある行為が生まれ、展開していく様子が長い尺で収められており、映像により一層の強度をもたらしていたように感じた。

 
映像の後には、「昆虫さん」、「猟師さん」、「現場さん」という、hyslomがこの場所で何らかの関わりを持った人たちを「演ずる」という行為によって紹介するパフォーマンスがあった。この山で出会った人々への愛情や敬意を伝えるために考え出された「演技」という手法が自然で、見ている者に迫ってくる何かがあった。「昆虫さん」を発表した吉田祐は、昆虫さんのクワガタへの愛情を愚直に伝え、加藤至の「猟師さん」にも一層の迫力が加わり、今回始めてパフォーマンスに登場した星野文紀による「現場さん」は、開発現場で働く発破技師の専門用語の使いかたや仕草、それから工事現場という世界そのものがリアリティーをもって伝わってきた。

 

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本イベントの告知文に「劇」や「演技」という言葉を使わず、「リサーチ結果発表」としたのは、この出会った人たちの仕草や話し方だけではなく、彼らの職能や技術にまで踏み込んだリサーチが実際におこなわれているからで、この貴重な出会いや関係性をアーティストの「パフォーマンス」として回収するのはは失礼にあたると考えるhyslomの慎み深さーそしてそれはとても大事なことだと思うーがパフォーマンスからも伺いしれた。

 

全体的なまとめとして、映像もリサーチ結果発表も今後が期待できる内容だった。今回の焦点はhyslomが現場で遭遇した人だったが、次回は遭遇したモノをSocial Kitchenに持ち込んで遊ぶようで、2回目も楽しみにしたいと思う。

「ライブパーティー」

① 2012年12月14日(金)19:00〜

② 2012年12月15日(土)18:00〜

入場料:1,500円 (ワンドリンク付き)

追って詳細をアップします!http://hanareproject.net/event/


須川咲子

 

 

 

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